スピニングコースター
舞姫
東京ドームシティアトラクションズ
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お知らせ
スピニングコースター舞姫は、2011年1月30日に発生した転落死亡事故にともない、既に撤去されています。
残念ながら、2度とこの場所で体験できる機会はございません。
スピニングコースター舞姫は2000年、タワーハッカー横のスペースにてオープンしました。 屋根があるので、雨天でも運行可能です。 コース設定はマッドマウスのような小規模なもので、バンクの無いU字カーブと小さめのドロップが連続します。
このコースターは座席回転(水平方向360度)に特色があり、回転軸を中心に2名ずつ背中合わせに座ります。 すなわち、回転に対して外向きに乗ることになります。 いわゆるコーヒーカップとは真逆です。 安全バーは腰を抑えるT字形で、太くてガッチリした構造です。
このコースターは、ドイツの名門メーカー Maurer Söhne製ですが、乗り心地は考慮されていません。 バンクの無い急カーブにガンガン突っ込んでいくマウス系で、それにフリーの回転が加わります。 回転軸は背中の後方にあるので、回転が起こると、遠心力で身体が安全バーに押し付けられます。 更に、進行方向のカーブに突っ込むと、ライドから外に飛び出さんばかりの衝撃を受けます。 またコース上には中途ブレーキが何箇所もあって、そこを通るたびにガチャンガチャンと衝撃があります。 回転はランダムなので、動きの予測は困難。 乗るたびに異なるスリルを味わえるのが特色で、見た目よりもハードで「怖い」コースターです。 ただし筆者としては、痛いし、繰り返し乗りたい程ではない、というのが率直な感想です。
客層としては、サンダードルフィンのような本格的コースターを敬遠する人が、手軽にスリルを味わっているように見えました。
2011年1月30日、ライドから乗客が転落し、死亡する事故が発生してしまいました。 経緯としては、乗客の身体が大きすぎて、安全バーがロックされない状態で発車し、急カーブで振り落とされた、ということです。 犠牲者のご冥福をお祈りいたします。
この事故に関しては、事実関係が明らかになった点から記載していきます。
まずはハード面から。ライドの基本性能としての欠陥はなく、整備不良が原因ともいえない。 ただしフールプルーフの観点では、詰めの甘いシステムだったことは否定できない。すなわち、
安全バーがロックされなくても発車できる。(せめて警報装置か警告灯があれば、、、)
シートベルトが無い。(設計上は必要ないのかもしれないが、、、)
本来は「安全バーがロックされないと発車できない」が正解のはずである。 また、絶対的な速度は遅いものの、無理な動きが連続するライドなので、 多重の安全装置が無かったのが不思議である。 小型だからと甘く見たのではなかろうか。 以上が考慮されていれば、事故は起こらなかったであろう。
亡くなった方の同行者への取材から、当日の行動も、ある程度明らかになっている。 スタンプラリーに参加するため、男女2名ずつ計4名で来園。 スピニングコースター舞姫のスタンプを貰うために乗車しようとしたが、被害者の方自ら「大柄すぎてコースターに乗れないかも」と気付いており、乗れなければスタンプだけ貰う方針だった。 被害者の男性は体重130kg以上、同行者の男性も100kgを超えていたとされる。 しかし特に乗車制限されず、男2名・女2名で背中合わせに乗って発車。 この時点で安全バーがロックされていなかった可能性が高く、バーがグラグラだったことに気付くものの、同行者は「小さいコースターなので、それほど危険はないだろう」と思ったとのこと。 しかし、カーブに差し掛かるたびに身体の揺れが激しくなり、4番目のカーブで耐え切れず転落。。。
ネットには、被害者の自己責任論や、中傷罵倒の書き込みも溢れているが、見識を疑う。 モータースポーツやダイビング、登山にスキー・スノボなどであれば自己責任論も有りだが、安全管理されていることが前提の「遊園地」である。 それでも生き延びるチャンスは十分にあったといえるが、コースター乗車の経験が浅かったのか、掴み取ることができなかった。悲しい限りである。
安全バーの確認方法について、一部報道に間違いや混乱があるように思える。 すなわち手で「触って」「押して」「引いて」確認なのか、言葉の使い分けが、どうも怪しい。 なので、スタッフと乗客を主語にして、それぞれ確認方法をまとめてみた。 ここで安全バーの「装着」とは「安全バーをロックする」と同義である。
安全バー | スタッフ | 乗客 |
装着 | 押す(下ろす) | 引く(下ろす) |
ロック確認 | 引く(上げる) | 押す(上げる) |
事故直後の記者会見で、パーク役員が「バーを手前に引いて確認している」とゼスチャー入り(引っ張ってもロックがかかって動かない、という動作)で説明されていたが、これが正しい確認方法である。 一方で「安全バーを手で押して確認していたら、下腹部を押されて痛い、と乗客からクレームがあった」については、そもそも確認方法が間違っており、クレームがあっても仕方がない。
メーカーから渡された指示書には「手で触って確認」と書かれているそうだが、本当にそれだけしか書かれていないなら、明らかに不備である(報道では表現がデフォルメされてる可能性が高いけど)。 具体的に「安全バーをどのように動かして、どんな状態であったらロックされている・いない」という判断基準が無ければダメだろう。
メーカーの指示書は一応「手で触って確認」であっても、パークの運行マニュアルでは「手で触って」は既に抜けており、口頭での指示も不徹底だったりいつの間にか無くなっていたり。 そしてパーク内の規定では「社員が常駐して、アルバイトは補助的業務」としながらも、実際はアルバイトがコースター運行の何から何まで一人で担当していたという実態。 人件費節約のみが優先された結果の事故といわれても、反論の余地は無い。
現時点では、運営上の安全管理に根本的な欠陥があったといえます。 それでも当サイトとしましては、(株)東京ドームが、 被害者遺族関係者に対して十分な謝罪・補償・報告を行い、安全管理体制をゼロから構築しなおして、営業再開することを切に願っています。 少なくとも現経営陣は総入れ替えし、パークリニューアル計画は完全凍結(着々と進められてますが)して建て直せ、ということです。 影ながら応援しております。
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項目 | 値 | 備考 |
コース全長 | 300 m | |
最高時速 | 36 km/h | |
最高地上高度 | 11.1 m | |
最大落差 | N/A m | 落とし込みは5m前後 |
最大斜度 | 37 度 | |
最大バンク角度 | N/A 度 | ほぼ0度 |
回転数 | N/A | 座席の回転数は規定なし |
最大G | N/A G | |
運転時間 | 1:08 | |
乗車定員 | 4 人 | |
敷地 | 17.4 m x 32 m | |
設計・施工 | Maurer Söhne | |
※データはrcdbおよびオフィシャルサイトを参考にしました。 |
乗車制限: 身長120cm 〜
(詳細および最新情報は、オフィシャルサイトまたは現地にてご確認下さい。)