White Canyon よみうりランド (固有機種)

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ホワイトキャニオンは1994年、日本で3番目、関東では最初に登場した木製キャメルバックコースターです。 先行する2機種(ジュピターとホワイトサイクロン)は、どちらもインタミン製ですが、 ホワイトキャニオンは、トーゴとRoller Coaster Corporation of America (RCCA)の合作で、車両はMorganが制作しています。 ホワイトキャニオンは、トーゴが手がけた唯一の木製コースターであり、 木製コースター専門メーカーRCCAの特色が強く出たのではないかと思われます。

敷地面積の制約で、先行機種に比べると規模は小さめ。 そこで本機の特色を打ち出すべく、スリル重視のレイアウトになっているそうです。 特色は「強い横G」「振動」「木組みすれすれに入り組んだコース」が挙げられます。 しかし、あまりの激しさゆえに概ね不評で、コース改修工事が複数回行なわれています。 乗車レポートは、原則として改修後(2006年以降)の印象に基づきます。 関東2機目の木製コースター、レジーナ(インタミン製)と比べると、その違いが際立ちます。

ホワイトキャニオン全景


Photo Gallery Spring 2007
2007年春撮影の写真です。(画像先行公開中)

オープン当時、眩しい純白フォルムは、目をみはるばかりの美しさでしたが、さすがに年季が入り、くすんだ色合い(貫禄が出てきたともいう)になりました。 化粧直しは行われていないようですが、 入り口のWHITE CANYONロゴがリプレイスされていました。 それでは、乗車レポートに移ります。

駅舎にて
駅舎入り口は、バンデット側から見てコースターの裏側にある。 巻き上げ部分をくぐり、コース内部、白い峡谷の底へ。 ここにはコインロッカーと案内板が設置され、順番待ちエリアになっている。 順番待ちエリアからは、ホームから巻き上げポイントに進む車両を見送ることができる。 階段を上ると、程なくホームへ。 ホームは木枠の奥にあり、薄暗い。 ホワイトキャニオンのホームは「乗り口」と「降り口」が直列になっており、互いに往来できない構造だ。 一時預かりロッカーは無く、基本は手荷物持ち込み。 大きな荷物や壊れやすいものは、あらかじめコインロッカーなどに入れておこう。 この構造はバンデットやサーフコースター(八景島シーパラダイス)も同様である。 乗車位置は係員から指示され、自由には選べない(本件、オフィシャルサイトとホームにも掲示されている)。 閑散日には前詰め乗車を指示され、後ろに乗れないという問題も発生する。
ライド
ライドは2人×14列の28人乗り。 座席前後のピッチが非常に狭く、入り口も小さいので、乗降時に足が引っかかることあり。 しかし、足元は前席の下にもぐりこむ形になっており、意外に広い。 荷物を置いても邪魔にならないほどである。 シートベルトは左右席共通で、ものすごく緩々。 安全バーは、膝元を押さえるだけの構造で、各自装着して出発を待つ。 座席は見かけほど窮屈ではないが、アーチ状の構造物に頭上を覆われ、 最前列を除いて視界が悪い。 このアーチは万歳防止用で、この上に手を出すと木組みに衝突し、手首から先が飛んでしまうかもしれない、とのこと。 車両によっては、アーチに黒い幌がかけられ、視界が更に悪化する。 幌の内部には、頭打ち防止用のクッションが仕込まれている。 景色を楽しみたいなら、最前列に乗れることを祈るしかない。
巻き上げ〜1stドロップ
スタート後、180度左ターンして巻き上げ開始。 チェーンが掛かると軽い衝撃があり、速いペースで登っていく。 左手に丘陵を走るバンデット、右手に都内ビル群を展望し、程なく頂上。 僅かながら平坦な区間がある。 かつては日の丸と星条旗が掲揚されていた(今では撤去されている)。 "WHITE CANYON / GOOD LUCK!" の看板を見送ると、いよいよ落とし。 コースターは突如として左に傾き、片斜面状のカベを一気に滑り落ちる。 油断していると、あっ!と声を上げる隙も無い、強烈な「よじれ落とし」。 最前列では視界からレールが消え、後列の引きずり込みも強烈。 万歳すれば、かなりの浮上感を味わえる。 フェイントの効いた、一癖ある良い落しだ。 着地したら、直ちに足をしっかり踏ん張ること。 体を右に傾ける姿勢を保とう。
第2高点〜横Gターン
着地時のスピードを味わう間もなく、即座に登坂。 異様なまでに捩れたレールが見える。 登りきらないうちに、強烈な右バンク・カーブに叩き付けられ、カーブの外に弾き飛ばされるような衝撃を受ける。 大きなアップダウンの爽快さを感じる間もなく、踏ん張って耐えているうちに、第2高点を通過してしまう。 かつては、ここで安全バーを握っていなければ、本当に弾き飛ばされたのだが、現在ではかなり乗りやすくなっている。 そのまま続いて右カーブ落し。 木枠のトンネルに吸い込まれる。
第3高点〜第4高点
間もなく直線的な第3高点が見えてくる。 どっこいしょと大きな登りで、スピード感が落ちてしまう。 ピーク上は右ひねりが入るものの緩やかで、ちょっと一服だ。 続く落しは味があって面白い。 短いながら斜度があり、腰が浮く。ストン!と落ちる感じだ(後部座席限定)。 次の登りに備え、踏ん張っておこう。 第4高点への登りは左バンクターンを伴い、思いのほか強い横Gがかかる。 大人しく通過を待つのが良いだろう。 かつては、ここも酷い衝撃だったが、改修によって問題なくなった。
2周目
いよいよ、ここからホワイトキャニオンならではの、木枠突入コースである。 次々に現れる骨組みに視界を遮られ、先が読めない。 至近距離の木枠にビビッて、思わず万歳した手を引っ込める。 冗談抜きで、木枠に頭をぶつけそうな錯覚に陥ってしまうのだ。 直線的な2つのピークでは、いったん大きく減速し、木枠を抜けて落とし込み。 続いて、木枠の中の左ブーメランターン。 捩れながら急傾斜で落ちていく。 歪んだ空間に脱線しそうな錯覚を覚える。 最後尾では、内蔵浮きまくりの引きずり込みが大迫力(乗れれば、の話だが)。 木枠の中で、コースはまだまだ続く。 小さなキャメルバックを越えながら、再び左180度ターン。
3周目
さすがにキャメルバックも微妙になるが、レールが左右に細かく振れており、心地良い振動が伝わってくる。 余裕があるなら、上を見上げてみよう。壮大な木組みが覆いかぶさり、壮観である。 視界が開け、左ターン。 すでに横Gは弱くなっており、これまで走ってきたコースを振り返る余裕も出ているはず。 余韻を味わいながら木枠の中に下っていく。 やや速度を取り戻し、緩い右カーブを通過するとゴールに着く。
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まとめ)
限られた敷地面積に凝縮したレイアウト。 半径の小さいターンやコブのようなキャメルバックが連続し、これらが立体的に入り組んでいます。 ゆえに木枠内部を走るコースが長く、木枠すれすれのスリルを評価するファンも多いです。 一方、直線を高速で駆け抜けるようなコースは、ほとんどありません。

スリルのキーワードは「横G」であり、かつては「横綱の張り手並み」で世界一、と宣伝されていました。 しかし、裏オフィシャルサイト(既に閉鎖)には「安全バーをしっかり握ったにもかかわらず、むち打ち症になった」との抗議文(かなり厳しい内容の長文にて掲載)が寄せられ、 これが直接の原因になったかは不明ですが、結果的にアトラクションとしての見直しを余儀なくされました。 世の中のトレンドは、スチールドラゴン2000やサンダードルフィンに代表される爽快系に移り、「横Gコンセプト」は時代にそぐわなくなったのかもしれません。 かつては安全バーをしっかり握らないと突き飛ばされて痛い思いをしましたが、 コース改修工事によって、比較的乗りやすくダメージの少ないマシンになってきました。

乗車状況に応じて、乗り味は大きく変化します。 先頭に少人数しか乗っていない場合、コース後半は淡々とした走りで、まるで消化試合のようです。 フル乗車では、明らかに迫力が違います。 特に後部座席の引きずり込みは、まさしく絶品。 よってホワイトキャニオンを楽しむには、閑散日は不利ということになってしまいます。 一列おき乗車など、できるだけ後部座席に乗れるよう、改善していただきたいと思います。

もう一つ欲を言わせていただけるならば、 万歳可能な空間確保と、ライドの頭上アーチ撤去を検討願いたいと思います。

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DATA
項目 備考
最高地上高度 35.4m
最大落差 29m RCCAオフィシャルサイトによる。
最高時速 84.4km/h
最大斜度 53度 木製コースターでは日本一。
最大縦G 3.55G
最大横G 1.5G オープン当時、世界一といわれた記録。現在は大幅減?
最大カント角 50度 木製コースターでは日本一。
軌道延長 1100m
運転時間 2分12秒

乗車制限)
身長110cm未満、妊娠中の方、骨に異常のある方、飲酒なさっている方など。万歳禁止。 激しい横揺れに対して、上半身を支えられない人は、乗車禁止。

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