お知らせ
サンダードルフィンは、2010年12月5日の事故(ライドからボルトが落下しワンバウンドして、女児のわき腹に当たり軽傷)以来、営業を休止しています。
再開準備のための試験走行などは実施されているとのことです。
弊サイトといたしましては、原因の解明と安全対策を再構築し、一日でも早く営業再開できるよう応援しております。
またサンダードルフィンに乗れる日が来ることを楽しみにしております。
サンダードルフィンは2003年5月1日にオープンした、INTAMIN AG(インタミン)製のメガコースターです。 INTAMINメガコースターの国内初導入であり、まさに画期的でした。 場所は旧後楽園遊園地のコースターランドと呼ばれたエリアで、温泉とショッピングエリアの複合施設LaQua(ラクーア)、センターレス観覧車Big-O(ビッグ・オー)と共に、エリアごとのリニューアルオープンとなりました。 「メガコースター」の定義は曖昧ですが、INTAMINでは「巻き上げ高さ60m〜80m、速度100kmh超の大型キャメルバックコースター」を指すようです。 よってKingda-Kaやザターンのようなタイプは、メガコースターとは呼びません。 「巻き上げ高さ90m〜、速度150kmh前後」になると「ギガコースター」と呼ばれ、逆に規模の小さいものは「メガライト(Mega-Lite)」と呼ばれます。 メガライトは、東武動物公園のカワセミが該当します。
文京区役所や東京ドーム、ウインズ後楽園など都内中心部に現れる、その異様なまでのフォルムはインパクトも絶大です。 圧倒的な存在感を誇る銀色に輝くレール(オープン当時)、ミレニアムフォースを思わせる約80度のファーストドロップと、センターレス観覧車Big-O(ビッグ・オー)をくぐるバンク90度以上のカーブ。 インタミン特有のトラス状軌道は「ねじれ具合」が強調されているようです。 絶叫マシンが好きならば、乗らすにはいられない。 入園料不要のフリーゲート制なので、都内に出かけて空き時間があれば、1〜2本乗ってくるか、という立地条件です。
ネーミングはイルカの曲芸(輪くぐり)をイメージしたものとされています。 直訳すると「雷いるか」。あるいはプリンスの曲名を無作為に並べたのだろうか。 コース設定は、鋭角な三角形の敷地を2周するレイアウトになっています 主な構成は、以下のとおりです。 第1辺で巻き上げ、ファーストドロップ、第2高点。 第2辺はラクーア屋上、第3辺はセカンドドロップと観覧車Big-O中心部の第3高点。ここまで1周目。 2周目は、第1辺で再びラクーア屋上に上昇、第2辺で屋上を経由して、第3辺の最終ドロップで終了となります。 このエリアは富士急ハイランドの第1駐車場よりもひとまわり狭く、第2辺を占めるラクーアは9階建てのビルであることから、 メガコースターとしては非常に難しい立地条件であるといえます。
2003年5月25日13:30頃の初搭乗レポートをベースに若干の加筆を行いました。
サンダードルフィン入り口は、何の変哲もない階段で、コースターの全貌も見渡せず、いささか拍子抜け。 がらんとしてるので「ラッキー、空いてるか?」と思えるのだが、3階まで上がると順番待ちスペースで、 それなりの行列を覚悟しておかなければならない(予想待ち時間表示あり)。 チケット販売機は、順番待ちの先にある。 続いてホームへの階段だが、その上にも順番待ちスペースあり。 i-mode予約者の「横入り」は散見される程度だが、列の進み具合が停滞したと感じるのは気のせいだろうか。 待ち時間は、予測値−5分程度というところ。 搭乗位置は係員に指定され、自由に選ぶことはできない。絶叫マシン好きなら押さえておきたい最前列、最後列は、残念ながら運任せとなる。
手荷物をホーム脇のロッカーに入れて、さあ搭乗だ。絶叫マシン好きなら、迷わず右側の席へ。 座席にはヘッドレストなど無く視界良好。お決まりのシートベルトは緩めに締めて、下半身のみを押さえるT字形安全バーを「少し浮かせるくらいに」おろす。 安全バーはこの位置で完全ロックされ、搭乗終了まで緩むこともなければ、締まることも無い(これは非常にポイントが高い、重力の影響で締まってくる機種も多い)。 上半身フリーで拘束感はなく、とてもいい感じだ。 ホームの先は、いきなり傾斜45.5度の巻き上げで、まさに「壁」である。 前方の席ならば、巻き上げ用のウインチが下りてきて、車両にカチリとロックされる様子がわかる。 ライドフォトの撮影場所は2箇所あり、スタート時に1枚目が撮影される。
静かにスタートした直後、巻き上げ開始だが、猛烈な急傾斜に驚く。傾斜45.5度は、並みのコースターの1stドロップなみ。おなじみのカタカタ音は皆無で、速やかに高度を稼いでいく。右側に整備用階段はなく、身を乗り出してみれば、ラクーア園内の客が豆粒のように遠ざかってゆく。 ラクーア・ビル越しに広がる街の景観を堪能しよう。素晴らしい都会のパノラマだ。 あれよあれよという間に高度80mのピークを越えて、さあ落下。両手両足万歳にて準備万端。
円弧状のピークを越し、少し時間を置いて落下点が見えてくる。 遥か地上に見える小さなレールに向かって真ッ逆さま。 実に滑らかで、心地良い内蔵浮上感。 これまで「真下に落ちるような」という表現を何度となく使ってきたが、まるで格が違う。 もちろん座席から腰が離れるが、浮き上がりを感じる暇もなく、思い切り引きずり落とされる。この落しは、FUJIYAMAあたりとは、かなり異なる印象だ。 落下地点はビル4階くらいの高度で「地面すれすれ」ではないのだが、そんなことを考える余裕もなく、9階建てラクーア屋上目指して駆け上がる。かなり高度を上げて120度右ターン。バンク角90度以上で、頭が完全に下を向くのだが、屋上であることから、高度感をダイレクトに実感できないのが惜しまれる。 それでも意識して覗き込めば、文教区役所横の礫川公園を見渡すことができる(右側の席限定)。
そのままラクーア屋上に下る。 銀色の金属棒を敷き詰めたようなものが波打っており、小さいアップダウンを、まずまずのスピードで駆け抜ける。 「浮くぞ!」と気合いを入れれば、浮上感があるかもしれないが、かなり微妙。 正面に東京スカイツリーが見える。 屋上の端に差し掛かると急上昇し、強烈な右バンク90度ターンを経て、壁の穴を突っ切り、セカンドドロップ。 ここの斜度も推定50度を超えるのだろうか、スピード感も最高。観覧車Big-Oが迫ってくる。再び上昇して右ターン。 またしても90度を越すバンクで、園内の展望も抜群。ガーデンの池と行き交う人々が、手に取るようだ。 覗き込めはタワーランド側もよく見える(右側の席限定)。 ちょうど通称?「大王くぐり」をクリアしたところだが、 「観覧車の直径が大きいので、あまり実感がない」と評価されている。 前を見ていると気付かないくらいだろう。
大王くぐりの急バンクから復帰するため、強めの左ヒネリを受けて、3rdドロップ。巻き上げ部分を併走する。 ここから園内2周目。トップスピードで小キャメルバックを駆け抜ける。 ここは背伸びバンザイで重心を高くしていれば、かなりの浮遊感がある。 逆に大人しく座っていたら、ほとんど浮かない。 そして1周目同様ラクーアビルを駆け上がり、屋上の角すれすれに急バンク右ターン。
屋上に滑り込むと、落ちていく場所は無く、ビル反対側までの水平移動。 原付バイク並みかそれ以下のスピード感で、奇妙な左右ロールを伴いながら、淡々と進む。 独特のカビくさい臭いが漂い、少し気になるところ。 反対側まで到達すると、右側に倒れ込むようにヒネリを加えてドロップ。 この突然の落とし込みは、右側の席なら、思わず振り落とされる感覚だ。 下りきると猛烈なスピードが戻り、気分が盛り上がったところで、悲しいかなブレーキゾーン。 無理のない減速で、駅舎前で停車。 ホームの車両が居なくなるのを待ち、バンクのない右急カーブを徐行して終了となる。
まとめ)
サンダードルフィンは国内初のINTAMINメガコースターで、都市と一体化した大きなアップダウンがあり、非常にダイナミックなコース設定です。
一方、乗り心地はかつてないほどの滑らかさで、急激なGの変化や振動など極力排されており、その快適さは芸術的と思えるほど。
コースター初心者の方にとっても、意外に楽に乗りこなせる優れたライドです。
健康であれば、高齢者でも問題ないでしょう。
ただ、INTAMINメガコースターの本来の持ち味は、広い敷地を優雅なカーブで駆け抜けて、スピード感と気持ちの良い浮きを楽しめること。
サンダードルフィンはそれらに比べると性格が異なり、世界的に見ても珍しいカスタムメイドのコースターです。
本来のスタイルのINTAMINメガコースターは、残念ながら未だ国内に導入されていません。
その他摘要については、項目別にまとめます。記事にダブリがあるかもしれませんが、ご容赦下さい。
項目 | 値 | 備考 |
コース全長 | 1066.8 m | |
最高時速 | 約 130 km/h | FUJIYAMAなみ? |
最高地上高度 | 約 80 m | タワーハッカーなみ? |
最大落差 | 66.5 m | |
最大斜度 | 約 80 度 | ミレニアム・フォースなみ? |
最大バンク角度 | 110 度 | 未確認データ |
回転数 | 0 | |
最大G | N/A G | |
運転時間 | N/A 分秒 | |
乗車定員 | 24 人 | 4人乗り×6両 |
巻き上げ角度 | 45.5 度 | 当時は世界一 |
騒音 | 79dB | 日本一静かなコースターでしょう。コースター自体の発する音は、周辺道路よりも静かです。 |
料金 | 1回 1000円 | 子供料金設定無し。当初フリーパスは無く、これのお世話になっていたが、2003年7月1日からフリーパスが導入された。 |
設計・施工 | Intamin AG | Ingenieur Büro Stengel(設計) |
※データはrcdbおよびオフィシャルサイトを参考にしました。 |